カナダつれづれ

カナダ在住約40年の筆者がつづる生活情報
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トピックス:映画館「白人専用席」事件から人種差別抗議に立ち上がる

10新紙幣に黒人女性公民権運動家ヴィオラ・デズモンドさんの肖像

 

 

カナダ造幣局は、このほど、黒人女性の肖像が載った新しい10ドル紙幣を発行、その女性の功績をたたえる式典が、3月8日(木)彼女の出身地であるノバスコシア州ハリファックスで執り行われました。

 

▲(左)$10新紙幣に載っているヴィオラ・デズモンドさんの肖像 (右)紙幣の裏側。カナダ人権博物館の建物

 

この女性は、ヴィオラ・デズモンドさん(Viola Desmond =故人)で、式典にはデズモンドさんの妹ワンダ・ロブソンさん(Wanda Robson)が出席し、連邦政府のビル・モルノー財務大臣およびカナダ中央銀行(Bank of Canada)のスティーブン・ポロズ総裁らから祝福を受けました。

 

ヴィオラ・デズモンドさんは、1940年代に起きた映画館での事件をきっかけに、カナダにおける黒人差別に反対する姿勢を貫き、抗議運動にたずさわった女性で、1965年に50歳で亡くなりました。人種差別に立ち向かい、公民権運動に積極的に寄与した功績が評価され、お札に彼女の顔が登場することとなったのです。

 

デズモンドさんがカナダでの人権問題に真剣に取り組むことになったいきさつについては、「e-nikka」(20161222日号)の「視点」に掲載しました。以下をご覧ください。

 

*  *  *

 

ヴィオラ・デズモンドさんは1914年7月6日、ノバスコシア州ハリファックスに生まれ、ビジネスの経営者、および美容師として働いていた。

その彼女が32歳のとき遭遇したある出来事が、広く世に知られることとなった。194611月8日、同州ニューグラスゴーの映画館で「白人専用席」に座ったデズモンドさんが逮捕されるという事件が起きたのである。

この日、デズモンドさんはニューグラスゴーの街をドライブしていたが、車が故障し、修理場でパーツ待ちとなったため、時間つぶしに近くのローズランド映画館で映画「The Dark Mirror」を見ることにした。座った1階の座席は「白人専用席」ということでバルコニーの黒人用の席に移るようマネジャーから言われた。

かたくなに退席を拒んだ結果、デズモンドさんは州の法令違反で当局に逮捕される。その際、彼女は腰にけがをしている。弁護士を呼ぶこともかなわず、一晩、監獄に入れられた。

 

裁判で、彼女はバルコニー席と1階席の料金の差額1セントを支払わなかった「税逃れ」の罪状で罰金刑を受ける。罰金の金額は20ドル(現在の270ドルに相当)プラス法廷費用6ドル。これを支払ってハリファックスの自宅に帰った。

夫にことの次第を話すと、彼は「仕方がない」とあきらめの返事。これに不服なデズモンドさんは毎週日曜日に行っているバプテスト教会の牧師に相談すると、牧師夫妻が裁判に持ち込むよう強くアドバイスした。こうして裁判が始まる。裁判の模様は、地元ノバスコシアの新聞が詳しく報道、世間の関心が強まったのは言うまでもない。教会とノバスコシア黒人地位向上協会などの支援により弁護士を雇うことができた。

裁判で、州当局は、この案件はデズモンドさんが「白人専用席」に座ったことで起きた人種差別問題ではなく、白人席に座るのに必要な1セントの税逃れをした行為が問題であると主張した。結局、州側の主張が通ったかたちで結審した。

 

しかし、この事件がカナダ全国で人種差別に反対する人々の引き金となり、公民権運動が高まったといわれる。

裁判のあと、デズモンドさんはビジネスをたたんでモントリオールに引っ越す。さらに米ニューヨークに移転するが、胃腸病にかかり、1965年2月7日、ニューヨークで50年の生涯を閉じた。亡きがらはハリファックスのキャンプヒル墓地に埋葬されている。

ローズランド映画館事件から64年たった2010年4月14日、ノバスコシア州のマヤン・フランシス副総督は州首相に対し、デズモンドさんに「死後赦免」を与える措置を取るよう勧告。州政府はデズモンドさんに謝罪、名誉回復をはかるとともに、副総督公邸に彼女の肖像画を掲示した。

 

そして、カナダ中央銀行が2018年に発行予定の10ドル新札に彼女の顔を載せることを決定したのである。カナダの紙幣にエリザベス英女王以外の女性の肖像が載るのは、史上初めてである。

10ドル札にヴィオラ・デズモンドさんの顔を見たら、カナダでの人権問題に真剣に取り組んだ彼女の不屈の闘志を思い起こしてみてはいかがだろう。(色本信夫・記)

 

*  *    *

 

〈2018年3月12日、色本信夫〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トピックス | 02:30 | - | - |
トピックス: 「Gateway to Promise」翻訳出版記念ブックトーク、JCCCで開催

英語版著者夫妻、翻訳チームのサンダース宮松敬子さんら

日系人の歴史や出版のいきさつを興味深く語る

 

 

カナダの日系史「Gateway to Promise - Canada's First Japanese Community (2012年初版、2017年改訂版)」の日本語版が今夏発行されました。邦訳タイトルは「希望の国カナダへ・・・夢に懸け、海を渡った移民たち−ブリティッシュ・コロンビア州から始まった日系史」です。

 

これを記念し、9月6日と9日、2回にわたってトロントの日系文化会館(JCCC)でBC州ビクトリアから来訪の原作著者で歴史家のゴードン&アンリー・スィッツアー夫妻と翻訳プロジェクトを推進したフリーランス・ジャーナリストのサンダース宮松敬子さんによるブックトークが開催され、多くの人が参加、盛況でした。

 

今回のブックトーク開催に当たってはトロント在住のコズロブスキー阿部美智子さんをはじめ、「ウインフォード・シニア・グループ」「エッセイクラブ華やぎ」など多くの方々が協力されました。

 

 

▲日系博物館でのスィッツアー夫妻によるトーク風景(9月9日) ▲文中には写真が多く掲載されている

 

まずは英語版「Gateway to Promise」の著者、スィッツアー夫妻が映像とともにこれまであまり知られていなかったビクトリアでの日系人の歴史を興味深く語りました。

 

歴史家のゴードン・スィッツアーさんは、3歳から20歳まで父親の仕事の関係で日本に暮らした経験から日本の歴史に大いに興味を持っていました。また夫人のアンリーさんもニューヨークで子供時代を過ごし、日本的なものに興味を持っていたそうです。

夫妻が11年前、ビクトリアに移り住むことになって、日系コミュニティーとかかわり合いを持つようになり、ビクトリアでの日系人の重要な歴史があることを知りました。これまでBC州の日系人史といえばバンクバーに重点を置かれていたからです。「これはぜひ記録としても残して置かねば・・・」という信念から膨大な調査が始まったのです。

 

初期の日本とカナダの関係、ビクトリアの日本人 コミュニティーの形成、発展、生活、職業、教育、人口構成、カナダ人社会とのかかわり合いなどについて、当時を知る人々の証言、市や政府、教会や図書館のアーカイブから記録を丹念に掘り起こして書き上げ、日系史「Gateway to Promise」が2012年に初版が出版されました。当初100ページくらいの予定だったのが400ページにもなっています。

 

サンダース宮松敬子さん「翻訳の使命感からプロジェクトをスタート」

40年以上住んでいたトロントから、約3年半前、ビクトリアに移り住んだサンダース宮松敬子さん。「もともと夫がバンクーバー出身だったので、いつかは西部の方で住むことになるかな・・・と考えていました。結果的に気候がよく自然の美しいビクトリアに住むことになったのです」

「ビクトリアに移って日系コミュニティーとかかわりあい、また日系社会の歴史をめぐっていくうちに知らなかったことが多いこと、ビクトリアと日系人とのつながりの深さに圧倒されました。さらにスィッツアー夫妻に出会い、この本を読んで、どうしても日本語にして残さなくてはならないという使命感から、この翻訳出版プロジェクトがスタートしました」

 

 

▲ゴードン&アンリー・スィッツアー夫妻    ▲サンダース宮松敬子さん(左)と校正などに尽力したヒル厚子さん

 

この翻訳出版プロジェクトには、16名の翻訳者を含む20名以上の新移住者が協力して翻訳・校正を担当しました。スタートから2年近くを経て今年夏に日本語版が出版されたのです。

 

日本語版は約440ページにもなり、200点ほどの写真が挿入されています。本書はビクトリアの日系人の歴史を物語ると同時にカナダにおける日系人の歴史も知ることができます。戦後移住者にとって、先人の歩んで来た道を知ることができる絶好の書でもあります。

 

たくさんの協力者がいたとはいえ、翻訳出版プロジェクトを完成させたサンダース宮松敬子さんの苦労は計り知れないものと思います。本当にご苦労さまでした。

 

〈本の購入方法〉

「希望の国カナダへ・・・夢に懸け、海を渡った移民たち−ブリティッシュ・コロンビア州から始まった日系史」

◎価格/英語版・日本語版ともに$29.95+送料(地域によって異なるので下記へ問い合わせを)

      Eメール:k-m-s@post.com(サンダース宮松敬子)

    Eメール:j.hashimoto@sympatico.ca(日系関連の本を販売しているジェニファー・ハシモト)

   

*トロントの日系文化会館(JCCC)売店&ヒロコ・バラル・ルームでも購入できます。

 

(9月11日、ノンちゃん)

トピックス | 00:46 | - | - |
トピックス:メルラストマン広場「ヒスパニック祭り」9月1日〜4日

トロントで楽しめる中南米カルチャー

 

今年で36回目を迎えた「ヒスパニック祭り」が9月1日から9月4日(レイバーデー)まで4日間、トロント市ノースヨークのメルラストマン広場で開催されています。中南米出身の人たちをはじめ多くの市民が参加し、まさにトロントのマルチカルチャリズム(多様文化主義)を感じさせてくれています。

 

2日(土)の夕方、数年ぶりに「ヒスパニック祭り」に出かけてみました。会場は主に中南米の人たちが大勢集まっていて、フードコートはメキシカン料理、コロンビア料理をはじめラテンの香りが漂って食欲をそそります。

 

 

▲メキシコの民族ダンス                  ▲マリアッチの音楽に合わせて男性のダンスグループ

 

 

▲エスメラルダ・エンリケさん(中央)のフラメンコダンスグループ ▲ベネズエラの民族ダンスグループ。子供たちも登場

 

野外ステージの舞台ではマリアッチ、中南米各国の民族音楽&ダンスが披露されました。午後7時からは特別出演として、トロントでフラメンコスクールを主宰している Esmeralda Enrique(エスメラルダ・エンリケ)さんがスクールのメンバーたちとフラメンコを踊り、観客の拍手喝采をあびました。(3日の午後7時からも出演します)

 

また、広場には各国の工芸品ブースが並び、中南米の文化を総合的に紹介しています。この祭りに参加して、改めてトロントにはヒスパニック系の人たちが多いこと、決してハッピーな祖国ばかりでない事情にもかかわらず伝統文化をつないで行こうとする努力に感銘を受けました。(入場無料。地下鉄ノースヨークセンター駅下車)

 

www.hispanicfiesta.com

 

(9月2日、ノンちゃん)

 

 

 

 

 

トピックス | 22:51 | - | - |
トピックス:トロント市庁舎前広場はカナダ建国150周年を祝う人でいっぱいに!

メープルリーフ国旗、Tシャツ、帽子、それぞれの思いを胸に・・・

 

2017年7月1日、カナダ建国記念150周年を祝って、カナダ全国でイベントが催され、大いににぎわいました。トロント市庁舎前広場(Nathan Phillips Square)でもライブミュージックをはじめ、いろいろなイベントが行われ、あふれんばかりのにぎわいでした。メープルリーフの旗を持つ人、Tシャツを着ている人、帽子をかぶっている人が大勢いました。

 

  

 

当日は午前中、午後にかけて晴れたり曇ったり、夕方近くににわか雨が降ったりで定まらない天気でしたが、にわか雨のあとはカラリと晴れてまさにカナダデー日和になりました。晴れたのを機にトロント市庁舎前広場に行ってみたら、ものすごい人、ひと・・・。この広場にこんなに人が集まったのを見たのは初めてです。

 

集まった人たちを見ると、ヨーロッパ系、中近東系、アジア系、中南米系、アフリカ系などまるでカナダ国民の縮図のようでした。そして、つくづく「カナダは平和だな」と感じました。(7月2日、ノンちゃん)

トピックス | 20:43 | - | - |

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