カナダつれづれ

カナダ在住約40年の筆者がつづる生活情報
<< December 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
アート・文芸:【Book 紹介】カナダ事件簿

カナダ事件簿

ウィルソン夏子/著

彩流社/発行

定価/2400円+税

 

 

オンタリオ州ロンドン市在住のウィルソン夏子さんが、このほど(2017年2月)、著書「カナダ事件簿」を出版しました。

 

著者は、名古屋生まれで、東京芸術大学、ウエスタン大学(オンタリオ州)の音楽学部の修士号を得て、室内楽ピアノ奏者。文学系のカナダ人の夫との出会いを機縁に文筆業にも携わっています。

 

ウィルソン夏子さんは、長年にわたり日加タイムス/e-nikka にも投稿してきたことで、読者にはおなじみの存在でもあります。カナダの社会問題や観光情報、外国旅行体験などに関する原稿を寄せていましたが、2005年からはカナダで起きた事件をシリーズで執筆することも始めました。

 

この年3月18日号「ドネリー一家虐殺事件」を皮切りに昨年(2016年)8月に掲載の「ロンドンのテロ未遂事件」まで、10年余の間「カナダ事件簿」が続き、歴史的に話題を呼んだ出来事や、最新の事件などを扱ってきました。著者独特の鋭い観察眼に多くの読者が引きつけられたものです。

 

本書では、日加タイムス/e-nikka に掲載された記事からとりわけ興味深い14の事件を選び紹介。内容は「アーティスト(作家、画家、音楽家)」と「事件」の大きく2部に分けられています。

 

「アーティスト」の部では、「赤毛のアン」作者モンゴメリーの自死(1942年)、グループ・オブ・セブンの画家トム・トムソン─湖に死体(1917年)、グレン・グールドの母親は誰だったのか(1975年)、など。「事件」の部では、開拓時代先住民の部族争いに巻き込まれた神父惨死事件(1649年)、村人たちの敵意─ドネリー一家虐殺事件(1880年)、にせ予言者「十二使徒教団」の盛衰(1925−1930年)、カナダ最初の誘拐事件─ラバッツビール社長の災難(1934年)、ボクサー・ハリケーン・カーターえん罪と闘う人生(1966年)、ケベック解放戦線FLQによる事件「十月危機」(1970年)、カナダで最初に成功した航空機ハイジャック(1971年)、わが町で起こり得たテロ爆破計画を未然に防いだ連邦警察(2016年)など。本書で取り上げている事件の多くはオンタリオ州で起こったものです。

このうち、モンゴメリーやグレン・グールド、テロ未遂事件などいくつかのテーマについては、著者自身がこれらに関する現場を実際に訪れて取材。そして「事件を起こした人たちは、人生の途中で何があったのか、なぜこうした罪を犯すことになったのだろうか」と、思いを馳せています。

 

それぞれの章の末尾に、著者が自作の短歌を添え、事件当事者の心境やその時代の状況を詠んでいるのも興味をそそられます。ウィルソン夏子さんは「短歌によって、記事内容とその時の自分をつないでおきたい、という気持ちがあったからです」と述べています。

また、各章に英語版ダイジェストが付いているので、日本語が分からない人でも事件の概要が把握できるようになっています。(3月19日 色本信夫)

 

スポンサーサイト
- | 06:52 | - | - |

(C) 2017 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.