カナダつれづれ

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アート・文芸:新刊紹介 多文化共生社会の国カナダの人権の歴史を探る

ドミニク・クレマン著/ 細川道久訳「カナダ人権史」

 

 

多文化の共生社会が築かれたカナダの国を人権という観点から著した本「カナダ人権史 多文化共生社会はこうして築かれた」が、このほど、明石書店から出版されました。

著者は、人権、社会運動、法と社会、女性、ジェンダー、労働などの歴史社会学を専門とするアルバータ大学社会学部教授のドミニク・クレマン氏(Dominique Clement)。

訳者は、これまでにカナダに関する著書を多数上梓している鹿児島大学法文学部教授の細川道久(ほそかわ・みちひさ)氏です。

 

著者は、まず、カナダ的な権利文化のようなものは存在するのだろうかと提起しています。

かつてカナダ人は、言論、結社、集会、宗教、出版、法の適正手続、投票の自由といった市民的自由として権利を定義することがほとんどで、1950年代になっても、差別に関する言葉は、人種、宗教、エスニシティにおおむね限定されていました。

 

それが、現在では、権利の言葉は、たいへん広範な諸問題に当てはまるように使われていると著者は述べています。人権法で禁止されている差別は、人種、肌の色、宗教、エスニシティ、出身国、出身地、性(妊娠を含む)、セクシュアル・ハラスメント、年齢、身体的・精神的障害、婚姻関係の状態、有罪の赦免、性的指向、家族の地位、アルコールやドラッグへの依存、言語、社会状況、収入源、給与差し押さえ、政治信条、そして性自認(ジェンダー・アイデンティティ)と性別表現などです。先住民や、エスニック的あるいは言語的なマイノリティの人びとの権利は、憲法で守られています。歴史家からすれば、これらのことは注目に値する変化だとしています。

 

本書は、カナダにおける人権の歴史とともに、私たちの権利文化をよりよく理解するための試みであると述べています。

 

本書は、序論に続いて、第1章・自由と国家建設、第2章・カナダにおける市民的自由、第3章・権利革命の胎動、第4章・権利革命、第5章・人権をめぐる論争、そして、結論へと進んで行きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲カナダの新10ドル紙幣のデザイン。表の肖像は、黒人差別に立ち向かった女性、

 ヴァイオラ・デズモンド(本の表紙カバーより。撮影は細川道久氏)

 

本書の翻訳を担当した細川教授は「訳者あとがき」で、カナダにおける人権闘争の象徴的人物とも言える黒人女性ヴァイオラ・デズモンド(Viola Desmond)の肖像が描かれた新10ドル札が今年3月発行された話題を取り上げています。1914年ノヴァスコシア州ハリファクスの黒人コミュニティに生まれた彼女は、1946年、同州ニューグラスゴーの映画館で黒人専用の座席に移るよう言われたのを拒否したため逮捕・留置。法廷闘争などを経て黒人差別に立ち向かった功績が称えられるようになったものです。

 

カナダ政府発行の新10ドル札はカナダ初の縦長の紙幣で、表はヴァイオラ・デズモンドの肖像ですが、カナダの通常紙幣で女性の肖像が載るのは、エリザベス女王を除いては今回が最初、黒人が描かれるのも初めてです。

お札の裏には2014年ウイニペグにオープンしたカナダ人権博物館、1982年に発効した「権利と自由の憲章」、先住民の権利要求闘争を象徴する鷲の羽が描かれています。「新10ドル紙幣の登場は、成熟しつつある多文化共生社会カナダを象徴していると言えようか」と細川氏は書いています。

 

◆「カナダ人権史 多文化共生社会はこうして築かれた」

ドミニク・クレマン=著 細川道久=訳

明石書店 定価3600円+税

 

 

(2018年10月18日、色本信夫・記)

 

コミュニティーニュース:カナダで書道の普及に貢献

「書道カナダ」に日本政府から外務大臣表彰

 

カナダで書道の学習・普及活動を続けている団体「書道カナダ」は、外務大臣表彰を受け、その表彰式が9月25日夜、トロントの総領事公邸で開かれました。書道カナダで指導に当たっている書家、前田典子さんはじめ生徒の皆さん、関係者など多数が出席しました。

 

伊藤恭子(いとう・たかこ)総領事が祝辞を述べ、「書道カナダの長年のご努力により、カナダ人の間でも日本の伝統的文化である書に対する認識が高まりつつあり、書道を学ぶカナダ人が増えているようです。日本の千年以上もの伝統的文化である書道をカナダで普及させるといった文化交流の促進に尽力しておられる前田さんはじめメンバーの方々は大変素晴らしいと思います」と賞賛しました。

 

河野太郎外務大臣からの表彰状(日付は平成30年<2018年>7月24日)が伊藤総領事から書道カナダ代表の前田さんに贈られました。

 

▲外務大臣表彰を受賞した書道カナダ代表の前田典子さん(左)と伊藤恭子トロント総領事

 

前田さんは、「書道カナダという団体が、このたび日本政府から公式に表彰されたことは、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。書道クラスでは生徒さんたちも一生懸命学び、日本書道公募展などの展覧会で発表する機会が与えられ、書道がカナダ社会に浸透しつつあります。喜ばしいことにクオリティーも上がっています。運営に当たっては、コミッティーやボランティアの皆さんもよく頑張ってくださるので、感謝しています」と語っていました。

 

 

【付記1】第11回「日本書道公募展カナダ」は11月3日(土)から11日(日)までトロントの日系文化会館アートギャラリー(6 Garamond Court, Don Mills   Tel : 416-441-2345)で開催されます。毎日午前11時から午後4時までオープン。入場無料。なお、授賞式は11月4日(日)午後2時から同アートギャラリーで行われます。www.jccc.on.ca

 

【付記2】日加修好90周年記念「書家・前田典子作品展」は10月16日から来年1月11日まで国際交流基金トロント日本文化センター(2 Bloor Street East, Toronto  /  Hudsons Bay Centre 3F )で開かれます。入場無料。週末祝日の開館日については電話で問い合わせを。  Tel : 416-966-1600 ext.229       www.jftor.org

 

(9月26日、色本信夫・記)

 

 

 

 

 

 

 

 

トピックス:メルラストマン広場「ヒスパニック祭り」8 月31日〜9月3日

トロントで楽しめる情熱的な中南米カルチャー

 

 

今年で37回目を迎えた「ヒスパニック祭り」が31日〜9月3日(レイバーデー)までの4日間、トロント市ノースヨークのメルラストマン広場で開催されています。中南米出身の人たちをはじめ多くの市民が参加し、まさにトロントのマルチカルチャリズム(多様文化主義)を感じさせてくれています。

 

1日(土)の夕方、昨年に続いて「ヒスパニック祭り」に出かけてみました。当日はお天気がよかったおかげか、会場には例年より大勢の人たちが集まっていて、音楽に合わせてダンスをする人もたくさんいました。

 

フードコートはメキシカン料理、コロンビア料理をはじめラテンの香り高い料理が並んでいます。中でも焼きトウモロコシが人気のようで、ラインナップがすごかったです。

 

  

▲フラメンコダンスのエスメラルダ・エンリケさん(中央)▲ラテン音楽バンド、オルケスタ・ファンタジア

 

野外ステージの舞台ではマリアッチ、中南米各国の民族音楽&ダンスが披露されました。午後630分からは特別出演として、トロントでフラメンコスクールを主宰しているEsmeralda Enrique(エスメラルダ・エンリケ)さんがスクールのメンバーたちとフラメンコを踊り、観客の拍手喝采をあびました。(2日の午後30分からも出演します)

 

また、広場には各国の工芸品ブースが並び、中南米の文化を総合的に紹介しています。

この祭りに参加するたびに、トロントにはヒスパニック系の人たちの多いこと、そして貧しい国からきている人も多いと思いますが、そんなことを感じさせないくらい彼らの底抜けに明るい活力に感心させられます。(地下鉄ノースヨークセンター駅下車)

 

www.hispanicfiesta.com

 

2018年9月2日、ノンちゃん)

 

 

 

トピックス | 00:39 | - | - |
トピックス:8月中はトロント各所で民族祭り開催

ジェラード通りの南アジア祭りはお国自慢のフード満載

 

8月は、トロントの各所で民族祭りが開催されて、お国自慢の食べ物に集まった人たちが興味を注いでいます。

8月初めはカリバナ、ギリシャ祭りでにぎわい、その後もダウンタウンの各地の通りの祭り、そして8月18日&19日は、フィリピンや南アジア祭りが開催されました。

 

   

 

私たちは久しぶりにGerrard & Coxwellにあるインド街で行われた南アジア祭りに足を運びました。歩行者天国になっているジェラード通りには主にインドの食べ物や衣類、クラフトなどのブースが並び、どれも大にぎわいでした。

 

歩行者天国には特設舞台が設けられ、民族舞踊や音楽が演奏されて観衆を楽しませていました。ただ、舞台のど真ん前にメディア?のカメラマンがど〜んと場所を取っていて、後ろの人たちの目をふさいでいたのは如何なものかと思いました。もう少し、気配りがあっても良かったのではないでしょうか?

 

 

 

それにしても、トロントは居ながらにして世界旅行を楽しめるのがうれしいですね。しかも本場の国の人たちが本物の踊りや味を提供してくれるのですから異国情緒を満喫できます。

 

8月の終わりから9月初めにかけてもノースヨークのメルラストマン広場でヒスパニック祭りや、その後もトロント西部でウクライナ祭り、ポーランド祭りなどが続いて開催されます。

 

これらの情報は、www.toronto.ca の Explore & Enjoyをクりックし、Festivals & Eventsを選んでください。

 

2018820日、ノンちゃん)

トピックス | 00:02 | - | - |
コミュニティーニュース:トロント総領事館主催

日加外交関係樹立90周年を祝う

 

1928年に日本とカナダが外交関係を樹立して今年は90周年に当たりますが、これを記念して、トロントでは日本国総領事館による祝賀イベントが開かれました。

 

 

▲クイーンズパークで90周年のスピーチをする伊藤恭子トロント総領事(左端)▲州議会議事堂前に掲揚された日本国旗

 

7月20日(金)午前、クイーンズパーク(オンタリオ州議会)の議事堂前で、日本国旗を掲揚する儀式が執り行われました。出席者が日加両国の国歌を斉唱、伊藤恭子(いとう・たかこ)トロント総領事がスピーチで「この90年間に日本との関係が進展を遂げ、今日のめざましい発展につながっていることに、カナダ国とオンタリオ州に感謝します」と語りました。

来賓の連邦およびオンタリオ州の議員、先住民代表、日系文化会館(J C C C)の川口ゲーリー理事長らが祝辞を述べたあと、日本国旗が掲げられ、青く澄み渡った空に日の丸がはためいていました。

 

 

▲威勢良く太鼓を演奏する「響和」グループ   ▲日本とカナダ、オンタリオとの良好な関係について語る伊藤恭子総領事

 

▲鏡割りのあと乾杯する来賓の皆さん

 

同日夕、 各界の関係者らおよそ400人がJ C C C小林ホールに集い、盛大な祝賀会が催されました。会場入り口では出席者一人ひとりが伊藤恭子トロント総領事と夫クロード氏から歓迎の挨拶を受けました。

 

このほど新しく誕生したJ C C C和太鼓グループ「響和」(きょうわ)の演奏で始まり、伊藤総領事のスピーチ、ジャスティン・トルドー・カナダ首相からのお祝いメッセージ(代読)、近隣市町の代表による祝辞などが披露されました。

 

会場では、35年間(1978−2014)の長期にわたりミシサウガ市長を務め、その間に多くの日本企業を同市に誘致するという功績を残したヘーゼル・マカリオンさん(97歳)の元気な姿が見られ、鏡割りをしたり、出席者たちとの会話に花を咲かせていました。

 

トロント総領事館によると、日本はカナダと外交を開いて以来、太平洋を挟む重要なパートナーとして、経済関係、人的交流、文化および学術プログラムの充実などを通じて相互理解を深め、民主主義、人権、自由な市場経済の発展に寄与してきました。そして国連、W T O(世界貿易機構)、O E C D(経済協力開発機構)、AP E C(アジア太平洋経済協力)、G7(先進7カ国会議)、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)などで日加両国がパートナーシップを発揮しています。

 

(2018年7月21日、色本信夫)

 

 

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