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つれづれ随想:健康回復に貢献してくれた水素水

老化で起こる様々なトラブルを解消し、免疫力を高める

 

このブログに何回か書きました昨年10月末に起きた血尿騒ぎは最終検査で「問題なし」と出ました。検査の最終段階の頃はかなり体調がよくなっていましたので「多分、大丈夫だろう」という私的見解がありました。体調回復に大きく貢献してくれたのが水素水です。

 

昨年、JCCCのニュースレター4月号にマーナ豊澤英子さん(医学博士•老年看護スペシャリスト)による「健やかな老後をめざして•老化に関係する活性酸素と水素水」の記事を読みました。その中に私が悩んでいたこととほぼ同じ症状のことが書かれていました(水素水については他の号でも詳しく書かれていました)。

 

数年前から顔に突然直径1センチ未満のブツブツした腫れ物ができ、かゆくてたまらないのです。ほっておけば何日かで消えるので、他の人に言っても「ぜんぜん、わからないけど•••」と言われます。しかし、本人はかゆいのが不愉快で、皮膚科のドクターに診てもらいました。「老化による一種の角質変化(ろうぜい)でしょう」とのこと。塗り薬の処方箋をもらいました。そのクリームは30グラム入りで86ドルもするのにびっくりしました。高いだけあってか、よく効きます。塗るとかゆみと腫れは割合すぐに引きます。

 

半年経って、クリームがなくなったのでドクターにリフィールをお願いしようとクリームのラベルをよく見ると「Refilles 20」とあり、これまたびっくり。つまりは「あと10年分このクリームを使いなさい」ということで、治る可能性はない、と言われているようでした。

 

そんな時、マーナさんの記事が目に止まったのです。同様の悩みが書かれ、やはりクリームを使用していた、とのこと。その後、「水素水を飲用してから3カ月ほどするとブツブツが減少し、クリームは全く使っていない」とありました。他にも水素水の効用がいろいろ書かれていましたが、とりあえず、私が興味を持ったのはかゆいブツブツのことでした。

 

なぜ水素水が効くのかは、「水素の力を世界で初めて発見した太田成男博士の【老化(ろうぜいや掻痒症など)に関係する活性酸素が水素によって除去される】という論説と一致しています」と、マーナさんの記事に書かれていました。

 

たまたま昨年夏、記念誌「トロント新移住者50年の歩み」校正•編集担当の一員としてマーナさんと夫•色本信夫がたびたび顔を合わせる機会がありました。その折にマーナさんは自宅の水素水生成器で作った水素水を大きなボトルに入れてサンプルとして渡してくれたのです。夏の間、ミーティングの度にサンプルを運んでくださいました。

 

その水素水を小型の化粧水入れに移し、コットンに浸してかゆいところに当てると次第に赤みが取れ、かゆみも引きました。つまり、クリームと同じかもっと即効性があるのです。水素水の効力を実感した私はすぐにでも生成器が欲しいと思い、ネットでいろいろ調べました。


▲水素水生成器。20分で1.3ℓの水素水が作られる。中にマグネシウム合金版が入っていて、時々クリーンする

 

まずは、マーナさんが使っている生成器のメーカーを伺うと、「アクアクローバー(日本製)」でした。私が調べたところでは一番高価(定価31万円=約3500ドル)で信頼性や評価も高い製品でした。マーナさんの記事には公共性を考えていらしたのか、メーカーの名前はありませんでした。安価なのは5万円くらいからあります。しかし、水素水の効力はあまり信頼できそうにありません。

 

「う〜ん、31万円ね。本当に効くの? もったいない」というのが、こういうケースを全く信じない夫の意見でした。値段が値段だけに私も躊躇していました。別の方からもアクアクローバーの水素水生成器の良さを聞いていました。しかし、それほど緊急問題が発生していませんでしたので、つい聞き流していました。

 

時は過ぎて、10月末に突然の大量血尿ですっかり健康への自信を無くした私が一番に思いついたのが水素水でした。マーナさんによると、水素水はガンを治すとか、特殊な病気治療に直接効くとかより、細胞を活性化させて免疫力を高めるのが一番の効果だそうです。それによって炎症を鎮める力を発揮させるとか。

 

当時は症状(残尿感や頻尿など)が膀胱ガンに近く、水素水を飲んだところで改善するのかどうかわかりませんでした。しかし、「何もしないより試してみたい」というのが私の気持ちでした。夫もしぶしぶ同調してくれ、息子は「ママがそれで気がすむのであれば•••」と、購入に大きく援助してくれることになりました。

 

すぐにマーナさんに連絡し、日本の彼女の知人から航空便で送られてきました。

マーナさんに使用方法を丁寧に説明していただき、水素水を飲み始めて約2カ月がたちました。

 

飲み始めて2〜3週間した頃からだんだん残尿感や違和感が減ってきました。飲用1カ月を過ぎた頃にはほとんど違和感はなくなりました。したがって1月半ばに膀胱ガンの有無の最終検査の時は「多分、大丈夫だろう」という自信が持てていました。結果はその通りでした。

 

水素水生成器の購入を思いついたきっかけの顔のかゆいブツブツも減り、水素水さまさまです。ついでに我が家のメスの愛猫(今年16歳)にも飲ませています。

 

彼女は昨年夏、私たちがヨーロッパ旅行から帰ってから、これまでになかった症状が起きました。専用トイレの砂箱からおしっこを漏らすのです。時には全く別のところでもするようになりました。これまで一度も病気をしたことがなかったのですが、どこか悪いところでもあるのか、クリニックでレントゲン検査をしてもらいました。しかし、「尿関連はどこも悪くありません。多分、認知症の症状が出はじめたのでしょう。これくらいはその年齢では普通です」とも言われました。

 

しかし、「砂箱が気に入らないのではないか、置き場所が不適切なのか」などいろいろ考えて変えてみたりしました。少しは改善しましたが、以前のようには行きませんでした。そこで水素水の登場です。

 

私より一番効果が出たのは愛猫でした。飲み始めて数週間で、尿漏れはほとんど無くなりました。ただし、水素水が気に入ったと見え、よく飲む、よく飲む。それだけおしっこの回数も増えてトイレの掃除も大変です。食欲も増し、うるさいくらいエサを催促してきます。

 

ところが水素水の効果は人によって違うようです。私と愛猫にはよく効きましたが、夫にはあまり効かなかったのか、この3カ月の間に2回も風邪をひき、肺に軽い炎症まで起こして、抗生物質を取る始末です。もともと彼は風邪を引きやすいタイプで、気管が弱い体質です。水素水の飲み方が足りなかったのか、生活習慣が悪かったのか、ウイルスの方が強すぎたのでしょうか?

 

いずれにしろ、水素水だけに健康維持を頼ることはできませんが、栄養バランスを考えた食生活とともに水素水が私の生活に不可欠になっていることは確かです。

 

2018125日、ノンちゃん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つれづれ随想:昨年10月末からの血尿騒ぎは検査結果が全てオッケーで終結

初めての経験を経て、検査システムを含むオンタリオ州医療体制に感謝

 

昨年10月末に生まれて初めて大量の血尿を出して救急病院に駆けつけ、周囲を心配させた騒ぎは1月11日にブランソンホスピタルで専門医による最終検査で「全てオッケーですよ」と診断されました。一応、一安心です。

 

最初の段階では、専門医の検査の日程があまりにも遅かったので、少々焦りましたが、あとで考えますと検査の段取りや様子を見る期間が必要だったことがわかりました。

 

まずは、再度の血液&尿検査、その後、ウルトラサウンド、最後にCystoscopy(膀胱鏡検査)を行いました。ウルトラサウンドで悪いところが見つからなかったので、当初行う予定のBiopsy(生検)からCystoscopyに変わったのでした。

そのほうが麻酔をしないので、より負担が軽いです。

 

では、大量の血尿の原因は一体、何だったのでしょう? 今回のことで自分なりに調べたり、他の人の経験談も聞きました。びっくりしたのは意外と私と同じ経験をした方が多い、ということ。

 

「私の場合はバケツいっぱい血尿が出て、検査のため入院したけれど結局、何もなかった」。「私もまるでクランベリージュースのようでした。いろいろ検査をしましたが、最後の検査は痛くて途中放棄してしまったが、その後なんともありません」など••••••。

 

中には「ビーツを食べたせいでしょう」と、信じて疑わない人もいます。たまたま、確かに滅多に食べないビーツをその頃少した食べました。しかし、血尿が出た後も、残尿感や頻尿傾向があり、限りなく「膀胱ガン」に近い症状でした。

救急に駆けつけたノースヨーク•ジェネラル•ホスピタルのドクターは「細菌による炎症と思われますが、念のため精密検査をした方がいいでしょう」と。

 

最後の検査を行ったブランソン•ホスピタルでは、受付で申請書類を作った後、同じ検査の患者(ほとんどがシニアで8人)が一堂に集まり(私のアポイントは午前7時30分)、着替えます。ドクターからの呼び出しがくるまで隣に座っている女性とおしゃべりをしました。「どのくらい時間がかかるのかしら?」とか「あなたはどんな状態だったの?」など。そのうちにいよいよ検査室の隣の控え室に案内され、一人ずつが呼ばれます。

 

まずは看護師さんが検査の要領を説明し、専門医のドクターが現れます。この時初めてドクターの顔を見ました。診察台に上がってからは手際よく検査が始まり、ほんの少し、チクリとしたくらいで痛みはありませんでした。正味5分くらいで検査は終わり、「とても綺麗で、問題ありません」と、ドクター。

 

これまでに行った検査はオンタリオ医療体制のおかげで全て無料です。確かに日本に比べますと税金は高いですが、医療、教育関連(公共の幼稚園から高校まで無償)の恩恵には感謝しています。

北欧(スウェーデンなど)はカナダよりもっと税金が高く、その分医療や介護施設、年金などが充実しているそうです。しかし、あまりに税金が高いと若い人たちが大変です。カナダくらいがほどほどでいいのではないでしょうか。

 

(2018年1月14日、ノンちゃん)

アート•文芸:寒波は読書三昧の絶好チャンス

ジャンル、作家、何でもありの読書に幸せを感じます

 

今年の冬は昨年12月から例年になく寒い日が続いています。NHKのニュースでも「北米•東部に寒波到来」と流していました。ずっと昔、30年以上前はこれくらいの寒さは珍しくありませんでしたが、ここ最近暖冬だったせいか、この寒さは身に応えますね。

 

秋から暮れに体調を崩していたことや寒さもあって、あまり外に出かけられない分、読書三昧と決め込んでいます。

 

高校生の時、3年間同じクラスで九州から東京の大学に入学した時も2年間同じ下宿先で同居した文学少女だったKさんの影響で私も当時は随分、本を読みました。Kさんは読書好きから当時、国立国会図書館に併設されていた国立図書館司書養成短期大学に進みました。私は私立大学の仏文科に進学。当然、フランス文学を中心に読んでいました。

 

田舎から突然、都会に出て、サルトルやボーボワールの実存主義だの本当はよくわからないままにかぶれて読み漁っていました。映画ではヌーベルヴァーグ全盛期で、「ヒロシマ、モナムール」(邦題:24時間の情事)を撮ったアラン•レネ監督作品の大ファンでした。中でも「去年マリエンバートで」は場所と時期を変えて4〜5回観ています。この映画も結局のところ、よくわからないままでした。でも何か魅かれる作品でした。

 

学生の頃、日本の作家では倉橋由美子が好きでした。何となく「去年マリエンバートで」に通じるものがあって、絵で言えばシャガール的で幻想的なところが好きでした。ある時、前出の友人Kから「倉橋由美子って、ちょっと浮き世離れしてツンとすました美形作家と思っているでしょう? 実際は赤ん坊を背中に背負って洗濯物を干しているような普通のおばさんみたいよ」と聞かされ、ショックを受けたのを今でよく覚えています。しかし、彼女の作品と現実のギャップがまた魅力になりました。残念ながら彼女の作品集は家やオフィスの移転の時に断捨離で公共施設に寄付したりして処分してしまいました。

 

私に読書の面白さを教えてくれ、散々小説の感想を討論した友人Kは20数年前トロントの我が家に来てくれ、昔話に花を咲かせました。しかし、その半年後、ガンで亡くなりました。まだ50代になる前でした。我が家に来た時は全く元気で病気を感じさせませんでしたが、考えてみるとその時すでにガンは進行していたと思われます。あまりのあっけなさに言葉も出ませんでした。Kは国立国会図書館司書養成短大を卒業後、東京工業大学図書館に司書として勤務し、独身のまま本と過ごした人生を終えました。

2016年に仕事をリタイヤして、一番の楽しみは本を読み漁ることでした。ジャンルや作家など何でもいいから、とにかく「読みたい」の一心でした。昨年12月から1月にかけて読んだ本は以下の通りです。ブルーマークは特に好きだった本です。(これらの本はジャパン•ファンデーションの図書館で借りたものです)

 

*カズオ•イシグロ「日の名残り」

*カズオ•イシグロ「忘れられた巨人」

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*辻仁成「海峡の光」

*金原ひとみ「蛇にピアス」

*綿矢りさ「蹴りたい背中」

*磯崎憲一郎「終の住処」

*川上未映子「乳と卵」

*中村文則「土の中の子供」

*阿部和重「グランド•フィナーレ」

*柴崎友香り「春の庭」

*津村記久子「ポストライムの舟」

*伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」

*青山七恵「ひとり日和」

*島田雅彦「ニッチを探して」(430ページ)

*小野正嗣「九年前の祈り」

*川上弘美「蛇を踏む」

*津村裕子「黙市」

*三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」

*楊逸(ヤン•イー)「ワンちゃん」

 

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《2018年1月〜》

*小川洋子「博士の愛した数式」

*阿刀田高「白い魔術師」

*町田康「告白」(850ページ、読書途中で断念)

*米原万里「打ちのめされるようなすごい本」(524ページ)

 

これらの前に今年、又吉直樹「火花」、村田沙耶香「コンビニ人間」、西村賢太「苦役列車」、黒田夏子「abさんご」などを読みました。話題の「火花」は理屈っぽさが鼻について好みではありませんでしたが、「コンビニ人間」は着眼点が身近なのと著者の自虐さにユーモアを感じて楽しく読めました。

 

私もいつかはあの世へ行くわけですが、その時に友人Kと読書談義ができるよう、頑張って少しでも多くの本を読んでおきたいと思っています。

 

*本に関しておすすめ本やご意見がありましたら下記のメールアドレスにお寄せください。

 

noriko.i@rogers.com

 

(2018年1月3日、ノンちゃん)

 

 

 

 

つれづれ随想:あけましておめでとうございます。皆様にとって幸い多き年でありますように

今年は健康の過信を反省し、謙虚に我が身を見つめる

 

 

2018年元旦。あけましておめでとうございます。

大晦日は最低気温がマイナス22度と、凍てつくような寒さでしたが幸いお天気はよく、元日の朝日は見事でした。

 

《2018年1月1日午前8時10分、トロント College X Dovercourt にて。Photo/Goh Iromoto》

 

このブログを始めて1年が立ちました。更新がまちまちになってしまって、反省しているところです。もっとも、ブログとはそんなものかもしれません。

 

昨年も世界情勢は不穏続きで、政変、異常気象など暗いニュースが続出しました。今年こそ、明るいニュースで埋め尽くして欲しいものですね。

 

私的には昨年前半は割合活発に動き回っていたのですが、後半、1カ月間のヨーロッパ旅行から戻って、すっかり体調を崩してしまいました。夏、初秋のトロントの天候不順も加齢による旅の疲れに拍車をかけたのかもしれません。

 

そんな時にブログにも書きましたが、突然の大量の血尿騒ぎであたふたしてしまいました。ある人は「膀胱ガンの症状に似ている」と言い、ある人は「ビーツを食べたからじゃないの?」と。確かにそのころ数日間、ビーツを食べていました。でも、ビーツを食べたのは初めてではなく、以前は血尿なんて出ませんでした。

当時は確かに体調不良で明らかに免疫が低下してたと思います。

 

血尿のおかげ?で生まれて初めて経験したのが、ウルトラサウンド検査やCTスキャン、さらに1月には膀胱の生検(Biopsy)や2月には心臓の検査(24時間心臓の動きをキャッチする器具を装置)を行います。

 

さて、これまで3回の血液&尿、細胞、ウルトラサウンド検査の結果は「悪いところは何も見つからなかった」とのこと。生検はまだですが、ドクターの話では「ガンの可能性は低い」とのことで、まずは一安心したところです。

 

ただ、ウルトラサウンド検査の時に「肝臓に影が映ったのと、ごく小さい子宮筋腫が見つかりました。肝臓は一応、CTスキャンを撮りましょう。子宮筋腫は小さいので放って置いて構いません」とのこと。というわけで、CTスキャンを撮ったわけです。検査そのものは痛くも痒くもありませんでしたが、検査前に1リットルの水を飲み、検査が終わるまでトイレに行けないことが一番苦しかったです。その後、CTスキャンの検査結果が来まして「肝臓の異常はありませんでした」とのこと。

 

救急病院に行ったり、いろいろな検査を通して待合室で見た人間模様も勉強になりました。改めてトロントはいろいろな人種が住んでいること、悲愴な顔面の人もいれば、「慣れっこ」みたいな楽観的に見える人もいました。待合室から即、手術の準備にかかる患者もいました。

 

私もこれからまだ検査は続きますが、自分の年齢を考え、今年は今まで以上に健康に留意して行こうと肝に銘じています。

 

今回、いろいろ検査を受けて、つくづくカナダの医療制度に感謝しています。全ての検査が無料(知らないうちに取られている保険料でカバー)であること。税金は確かに日本に比べると高いですが、その恩恵は計り知れないとか感じました。

 

12月後半から1月初めにかけて、最低がマイナス20度以下になることも珍しくなく、この時期としては経験したことのないような寒さです。ここ数年暖冬が続いていただけに身にこたえます。

 

皆様も風邪など引かれませんよう、戌年の2018年を健康で過ごせますよう、お祈りいたします。

 

(2018年1月元旦、ノンちゃん)

 

新刊紹介:細川道久著「ニューファンドランド」

英国最古の海外植民地だった辺境の地が「カナダになる」までを追う

 

 

 

カナダ研究家で、これまでカナダに関する著書多数を上梓している鹿児島大学教授の細川道久氏が、11月に「ニューファンドランド いちばん古くていちばん新しいカナダ」と題する本を彩流社から出版しました。

 

著者はまえがきで、「ときにアメリカ合衆国の51番目の州と皮肉られることもあるカナダは『巨象の隣にいるネズミ』にたとえられるように、圧倒的に存在感は小さい。とはいえ、隣国アメリカ合衆国の影響を受けながらもユニークな存在であり続けるカナダは、私のような『カナダ・オタク』にはたまらない魅力がある」と述べています。

 

その上で、イギリスの最も古い海外植民地で、第二次世界大戦後、カナダの最も新しい州として誕生したカナダ最東端の地ニューファンドランドにスポットを当てたのが本書です。

 

1867年、ケベック州、オンタリオ州、ノヴァスコシア州、ニューブランズウィック州の四つの州がカナダ自治領(ドミニオン・オブ・カナダ)という連邦体を結成。これがカナダの建国となっています。このあと、1870年マニトバ、1871年ブリティッシュ・コロンビア、1873年プリンスエドワード島、1905年アルバータ、サスカチュワンが加わりました。

 

1949年にニューファンドランド島およびケベック州と接するラブラドール地方がニューファンドランド州としてカナダに仲間入りしました。このカナダ10番目の州は、2001年、ニューファンドランド・アンド・ラブラドール州(Newfoundland and Labrador)と改称され、現在に至っています(本書では「ニューファンドランド州」と表記)。

 

では、イギリス最古の海外植民地ニューファンドランドが、どのような経緯でカナダに編入したのであろうか。それをニューファンドランドのみならず北大西洋世界の動きに注目して描いてみるのが本書のねらいとなっています。

 

本書は、「第I部 カナダ編入前史」と「第II部 カナダ編入」の二部で構成されています。第I部では、大航海時代からイギリスの行政管理統治下に置かれた1930年代までをカバー、第II部は、第二次世界大戦ぼっ発からカナダへの編入までを扱っています。

 

大航海時代にニューファンドランド沖の大西洋に豊富なタラの漁場「グランドバンクス」が発見され、ヨーロッパの国々からの漁民で賑わいました。ヨーロッパの食糧事情の改善を求めて、「海のビーフ」と呼ばれるタラの需要が高まったのです。しかしタラ漁場は冬の期間は操業ができないことから、季節的な要素が強くなりました。さらにヨーロッパでの英仏抗争が北米にも影響が広まるなど、ニューファンドランドは人々の定住化が進まない状態でした。

 

本書では、ニューファンドランドがカナダ連邦との統合案が、漁業協定をめぐる紛争などでうまく行かず、挫折したいきさつが分かりやすく述べられています。第二次世界大戦が始まり、カナダはセントローレンスの河川と湾に接するニューファンドランドの防衛がカナダの安全に欠かせないとみられるようになりました。北大西洋の防衛の要(かなめ)としてその重要性を強く認識したのです。

 

こうしてイギリスとカナダがニューファンドランドをカナダ編入に導いたとされています。このカナダ編入には「陰謀説」があると唱える人が現れて、大きな話題を呼んだようですが、陰謀説のてんまつが詳細に記述してあるのが、興味深いです。

 

とにもかくにも1949年3月31日、ニューファンドランド州が成立しました。住民代表者会議や住民投票での対立、その後も続いた反対派による抵抗と、じつにさまざまな出来事がからみ合い、難産のすえにニューファンドランド州は誕生したのです。

 

著者の細川氏は、本書の随所にカナダやニューファンドランドに関するクイズを読者に投げかけていて、読書中、ちょっとした頭の体操を楽しませてくれます。また、各章の末尾に載っている「コラム」の閑話休題的な話題がおもしろい。例えば、「ニューファンドランド犬とラブラドール犬」などは、愛犬家ならずとも目を引かれるコーナーとなるに違いありません。

 

「ニューファンドランド いちばん古くていちばん新しいカナダ」

細川道久•著

彩流社

定価:2400円

 

(12月24日 まとめ:色本信夫)

 

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