カナダつれづれ

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アート・文芸:【BOOK紹介】世界が憧れた日本人の生き方

天野瀬捺/著

ディスカヴァー携書/発行

定価/1000円+税 (電子書籍・864円)

 

 

「現代を豊かに生きる智慧は、かつての日本にこそ眠っている」──本書は、主として江戸時代末期から明治の初めに日本を訪れた外国人たち36人から見た日本人の生き方を取り上げています。これらは現代の西洋化された日本では忘れられたものも多い。しかし、日本人のどこかに眠っている。それを呼び起こしてしてくれる書でもあります。

 

目次から例を取ってみましょう。

1 シンプルさのなかに豊かさを見いだす

2 どんな相手も尊重する

3 いつも陽気である

4 教養を身につける

5 自然とともに生きる

6 必要な道徳心を備える

7 進んで相手をもてなす

8 共存共栄に生きる

最終章 現代に生き続ける日本の美徳

 

これらを記した外国人は、外交官や旅行家、学者、貴族などさまざまな分野の人たち。中にはシーボルトやアインシュタインのように馴染みの名前もありますが、ほとんどが初めて目にする人たちです。驚くのは当時、今のように交通が発達していないにもかかわらず、多くの外国人が日本に興味を持って訪れ、日本について記した書物を残していること。

さらにそのことに着眼した著者の探究心は、参考文献の多いことからも敬服するばかり。著者の熱い思いは「おわりに──いまこそ、日本ルネッサンスを!」に集約されていると感じました。

 

○   ○   ○

 

本書は昨年12月末に発行されたばかりの新刊書です。著者・天野瀬捺(あまの・せな)さんは千葉県出身で、トロントのセネカカレッジ卒。カナダをはじめオーストラリア、スイスなど海外に約20年在住し、現在は沖縄に住んでいます。こうした経験から日本を客観的に見る目が養われたのでしょう。トロント在住時代には「第25回日加タイムス文学賞」(2006年)に自らの体験を著した小説「フライトアテンダント物語〜小夜子のスッチー見聞録〜」が入選し、日加タイムスに連載されました。(1月27日、ノンちゃん)

アート・文芸:25年間連載した「日加タイムス文学賞」入選作品を読み返して

日加タイムスが1979年に創刊されて数年後の1981年に色本信夫編集長の知人、マイク志鶴さんからの提案で「日加タイムス文学賞」という懸賞小説の募集をしてみました。規定は400字詰め原稿用紙50枚前後の短編です。

しかし、50枚書くのは大変な作業。実際に応募してくれる人はいるかしら? 半信半疑で募集したところ、反響は意外に多く、第1回はカナダ全土から約20点ほど集まりました。のちにカナダ以外の国々からも応募作品が寄せられるようになりました。

 

この中から1等1編、佳作2編を選んだのですが、審査には大変苦労しました。第1回の審査員は当時トロント大学の月村麗子教授と上中修三助教授、それに編集部から色本信夫と色本のりこが参加しました。その後、いろいろな方々に審査をお願いしました。後半1993年からは編集部内で審査をしました。

こうして、1982年から2006年までの25年間、入選作品は日加タイムスに連載されました。

 

【入選作品の中から一部のタイトルを並べました】

 

 

どんなコンクールでも審査員の好みがあることはまぎれもないことですが、日加タイムス文学賞でも全員が一致することはなかなか難しい状況もありました。それでもとにかく入選作品を決めなくてはいけません。入選には惜しくも該当しなかった作品は選外佳作として掲載することにしました。連載後、読者から感想を寄せられましたが、「1等より選外佳作の方がよかった」という意見があった時もありました。

25年間という長い間には、1等に相当する作品がないときもありました。ちなみに賞金は、1等500ドル、佳作300ドル、選外佳作100ドルでした。賞金うんぬんより「ただ書きたい」という人や「賞金が目当て」という人など応募理由もさまざまでした。

 

今回、日加タイムスe-nikkaが終刊したことで、これらの入選作品をファイルケースから取り出して改めて読み返してみました。

選ばれた作品は、ロマンあり、ミステリー、サスペンス、歴史、エッセイ風、SFもどきありと、中にはプロ顔負けと思われる力作もあり、隠れた才能を持つ人がこんなに多いのかと今さらのように驚いています。

入選作品は、1回(1年)の募集で平均5作選んでいますので、25年間で合計約125作品あります。全部スクラップしていましたので、目を通しました。

さらに、小説に加えて挿絵も玄人はだしのが作品が多く、こちらも感心することしきり。挿絵も一般から募集し、編集部で作風にマッチしたタッチのものを選びました。

このまま埋もれたままにしておくのはもったいない、というのが率直な感想です。(1月18日、ノンちゃん)

 

アート・文芸:BOOK紹介 ピカソになりきった男

ピカソになりきった男

ギィ・リブ著/鳥取絹子訳

キノブックス/1600円+税

 

 

 

━━本書は天才贋作作家ギィ・リブの手記である。ある美術評論家は「ピカソが生きていたら彼を雇っていたであろう」とギィを評する━━(まえがきより)

 

1948年フランスの中東に生まれ、水彩画のアーティストだった著者が偉大な画家たちの模倣を始めたのは1975頃。その後、本格的贋作作家の道に入り、2005年に逮捕され禁固、執行猶予、保護観察付き処分など8年間陽の当たらない日々を過ごす。2012年ジル・ブルドスの映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」のスタッフとして、絵を描く時の手の役で協力。

 

ギィは「俺の事件(贋作)は氷山の一角にすぎない」と、贋作ビジネスのからくりまで明かしている。破天荒な彼の人生と億単位の金が動くアート市場の実像を表わした本書は生々しくも清々しい。本書を読んでいると、映画の場面が想像で浮かんでくるのが楽しい。実際に映画になったら面白いだろうな〜。

 

訳者の鳥取絹子さんは翻訳家でジャーナリスト。著書に「『星の王子さま』 隠された物語」(KKベストセラーズ)、「フランスのブランド美学」(文化出版局)など。訳書に「巨大化する現代アートビジネス」(紀伊国屋書店)、「移民と現代フランス」(集英社新書)など多数。

 

実は絹子さんは私の出版社勤務時代の後輩で、フランスでも1年間同時期に滞在した友人でもあります。彼女の話によると本書「ピカソになりきった男」は彼女自身が出版社に持ち込んだ企画だそうです。2016年8月に初版が出たあと、朝日新聞をはじめ日経新聞、産經新聞、共同通信を通して各地方紙にも取り上げられたということ。さらに彼女自身「ダ・ヴィンチ」という雑誌のインタビューも受けた話題の本なのです。絵に興味のある方だけでなく、一般の方でもひきつけられる本です。(1月2日、ノンちゃん)

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